震災から9年を迎えた3月11日。
私は、全国に「被災地の今」を伝える中継を担当しました。場所は、陸前高田市。震災の記憶と教訓を後世に伝える「高田松原津波復興祈念公園」にある、高さ12.5メートルの防潮堤の上です。復興の現状を全国の人に知ってもらえる機会なので、言葉一つひとつを大切に伝えようと臨みました。
実は3年前の同じ日にも、私はこの防潮堤の上から中継をしました。その時は、まだ公園が整備されておらず、あたり一帯はほとんどが更地で、仮設住宅で暮らす人も多くいました。そこから比べると、街の姿は本当に変わったように感じます。大型の商業施設がオープンして、多くの人が仮設住宅を出て、再建した家や災害公営住宅に移り住みました。
しかし、街並みをよく見ると、今もまだ空き地が目立ちます。長い仮設暮らしで築いた人付き合いも、仮設住宅を出たことで離ればなれになってしまいました。そしてこれからは、震災の記憶の風化も問題になってきます。
来年、震災から10年という節目を迎えます。これからも、あの日を忘れないように、私たちも番組を通して伝え続けることが大切だと、思いを新たにしました。