夢・見る・ピノキオ

放送内容

2009年12月27日放送

Vol.39 12月27日  2009…年の瀬の情景

  • 今年も残すところあとわずか。冬本番を迎え、岩手ならではの情景があちらこちらで。2009年最後のピノキオは、県内各地の年の瀬の情景をお送りします。

最初に盛岡市神子田の朝市にお邪魔してみると…白菜やほうれん草、そしてなんといっても根菜が元気。そして石川啄木も好きだったという津志田芋もありました。この芋は江戸時代からつくられ味の評判が良い事から「津志田いものこ」として古くから広く親しまれてきました。南部の殿様も好んで「いものこ」を賞味されたと言われています。芋の子汁にすると、とろけるようなトロ味が特徴。また北上では冬の風物詩ともいえる冬野菜の収穫が。「長いも」と「セリ」です。是非ご賞味を。

盛岡神子田朝市

【住所】〒020-0826 盛岡市神子田町20-3 
【時間】午前5:00〜8:30(年間、300日間営業)
【定休日】毎週月曜日(祝日の月曜日は5月〜12月まで営業)
【TEL】019-652-1721

奥羽山脈の懐・西和賀の人々の暮らしは、昔から雪や寒さとの戦いでした。その中で冬を乗り切る様々な知恵が生まれ、伝えられてきたのです。取材させていただいたの農家では、地下室をムロ代わりにして、冬に食べる分の野菜などを保存していました。また、ここでは春に採った山菜やキノコなども塩漬けにしてありました。冬、それらを山の色に戻します。そんな山菜料理は、まるで採ったばかりのような美味しさです。 また冬は納豆汁も良く作ります。もちろん自家製の納豆を使って。アツアツのトロミがなんともいえません。大根から出た旨みも加わって、濃厚な味わいです。そのほか凍み大根を使った煮しめ、天然ナメコやとんぶりの和え物、そして秋田に近い土地柄ならではのしょっつるなど冬の食卓を飾るどの料理にも、うまく保存している食材が使われています。厳しい自然を乗り越える為の知恵と工夫は、子から孫へと受け継がれていって欲しいものです。

冬に盛んに行われる酒の寒仕込みは、岩手の冬の情景のひとつです。月の輪酒蔵店は明治19年創業。120年以上の歴史を誇る老舗。この酒蔵では現在、若手が中心になって酒作りをしています。平均年齢は20代前半。その若手を束ねるのが杜氏の横沢裕子さん。酒蔵の長女として生まれ、父親の後を継ぎ杜氏になって5度目の冬を迎えました。若手を育てながら、自分が納得できる酒づくりをしています。その酒造り曰く「お酒に自分を写していくように」とのこと。

月の輪酒造店

【住所】〒028-3303 岩手県紫波郡紫波町高水寺字向畑101
【TEL】019-672-1133
【メールアドレス】kura@tsukinowa-iwate.com
【サイトURL】http://www.tsukinowa-iwate.com/

米どころの県南では、お祝い事に必ず餅を振舞います。特に農閑期の冬は、神様に感謝する行事や、年越し行事が多いとか。「夢みる老止の館」で祝い事と時に振舞うもち膳、そして県南の年越し料理を作ってもらいました。夢みる老止の館は、餅料理をふるまう農家レストラン。餅膳・山菜膳2,100円と餅膳・山菜膳+天ぷら3,150円などがあります。庭先で秋田大黒舞や餅つき歌を披露しながら餅をつく出前餅つき隊の出張サービス(別途料金)なども。

夢みる老止の館

【住所】岩手県一関市花泉町油島字上柏木39  
【時間】11:30〜15:00/17:30〜20:30(4名以上で10日前までに予約)
【TEL】0191-82-2722

県南にこの地方ならではの門松を作る風情ある風習が残っていました。なんと10メートルほどもある長い杉の木を使い作る門松は、長いほど縁起が良いとされていて、神様が宿る場所を現していると言います。また門松には、「神を待つ」という意味もこめられて。割り木で支えた後、注連縄を飾ります。また御神酒や肴もお供えして。風習や行事は、人々の暮らしに密着して行われてきたものです。そこには、農家の暮らしの切実な祈りがありました。

秋から年末かけての沿岸の風物詩に新巻鮭があります。漁村を訪ねるとそこかしこに新巻鮭がぶら下がって。この新巻鮭は、江戸時代のはじめに保存用として作られたもの。今も昔も冬の食卓にかかせません。新巻鮭が作られた時代、少し身分の高い人は、押し寿司などでいただいたとか。またすり身汁にもします。ふわふわとした食感が美味なる一品です。

三陸の冬の味覚の王様といえば…アワビ。口開けも冬の風物詩です。三陸の荒波にもまれ、天然昆布をたっぷり食べて育ったそれは、日本一とも評され、肉質と風味は抜群です。

またこの頃、同じ釜石市内の無線局で、ちょうどこの頃、年賀無線電報のやりとりが盛んになってきます。世界を股にかけて操業するマグロ漁船の乗組員から家族へ、そして家族から乗組員へのメッセージです。

そんな沿岸では、ナメタガレイが年越し料理に振舞われます。旬のナメタは、とても肉厚。もちろん子持ちです。昆布出汁に、醤油、お酒など、それぞれの家の味に煮付けます。その他、採ったアワビをはじめ、旬のお刺身も。またキンキやアカウオもお吸い物でいただきます。沿岸の正月は、旬の食材が贅沢に食卓を埋め尽くします。

  • 今年もあとわずか。皆さんにとって、来年がいい年になりますように。あ、そうそう! 2010年もピノキオを宜しくお願いします。