「中庭」という作品で紹介される材木町にある民芸品店「光原社」。中庭、可否館、ホームスパンなどが風情ある雰囲気やゆるやかに流れる描写で紹介されています。

光原社でよく会っていた友人に、じゃじゃ麺好きがいて、いきつけは桜山の白龍でした。友人は、最初じゃじゃ麺が好きではありませんでした。しかし、誘われ、食べにいく度に魅入られ、虜になります。★じゃじゃ麺（中）500円★チータンタン50円

宮沢賢治ゆかりの地・小岩井農場も「ソフトクリーム日和」という作品に登場します。上丸牛舎の日本でいちばん古い赤レンガ製のサイロ。またソフトクリームは小説に出てきたときからリニューアルしていました。小岩井農場の生乳を使い、絞りたての牛乳にちかいような味わいですっきりとさわやか。また同じ生乳を使いまして、小岩井の卵を使ったコクのある濃い味わいのジェラートも。そして小岩井は、盛岡近郊としては、周辺に明かりが少なく、絶好の観察場所になっています。まきば園の中にある「天文館」では、大型望遠鏡で迫力ある月のクレーターや何万光年も離れた神秘的な銀河を見ることができます。冬の星座・ふたご座は、今は夕方に西のほうに、見えるため、西の空はあまり明かりが無く、きれいに見えます。また天文館では、毎週土曜日、スターウォッチングも開催。今年は、リングが見えなくなるという珍しい現象が起こる土星が注目だとか。そのほか、昔の望遠鏡を復刻したスタッフ手作りの巨大望遠鏡も6月からお目見えします。

本の表題作「イギリス海岸」。作者の木村さんは、「イギリス海岸」は河原なのに「イギリス海岸」という賢治のネーミングのセンスが洒落ていて、すばらしいといいます。現在、白亜の地層はなかなか見せませんが、小説の中で最後に、主人公が乗ったタクシーの運転手の言葉が印象的でした。　まァ、だいぶ変わってしまった、とはいっても、　イギリス海岸、と思いながらながめているとね―――　あの、賢治が、農学校の生徒たちを臨海学校へ連れて行くつもりでね、　実際には行けなかったから、せめて、川のほとりを、海岸、だなんて名づけてね。　そのほうが、楽しい感じがすると思ったから、　そんなふうに名づけて、遊びに行っていたんですよ。　だから、やっぱり、海岸なんだなっていう気が、たしかにしてくる場所なんです。　じっと、ながめているとね。…それで良いのだと思います。

大きいコッペパンに様々な具材を塗り、はさんでいただく福田パンは、古くから盛岡で人気がある素朴なパンです。スーパーやコンビニでも手に入る福田パンですが、やはり長田町本店で作ってもらうのが、盛岡の流儀。小説の「福田パン」は、双子が揃って登場。家出同然で東京に暮らす妹に、姉が好物の福田パンを買っていく、というストーリーです。もちろん買うのは…「アンバター（あんマーガリン155円）」。作者の木村さんには、三つ下の妹が二人いて、その二人が双子とのこと。その妹たちは高校入学と同時に盛岡へ引っ越してきたそうです。福田パンの話は、「部活の先輩に、取り合いになるから昼休みの前に買ったほうがいい、と教えられた」といったその妹たちから聞いた思い出話をもとに書いたそうです。あんマーガリンのほかにも、癖になる味わいが揃います。懐かしいスパゲッティナポリタン（250円）。昭和が口の中に広がります。またコンビーフとポテトサラダのコンビネーションも人気の一品（250円）です。また、オリジナル野菜サンドもボリュームたっぷりで、おススメ。テリヤキチキンをはさんでいただきましょう（390円）。

イーハトーブ短篇集には書き下ろしもあります。「クリスマスの音楽界」です。冬に宮古を訪れ、雪の浄土ヶ浜を「世界の果て」と表現します。木村さんは、取材とは関係なく三年前の二月にフラリと一人旅をして雪が積もっていてだれもいない真冬の浄土ヶ浜の光景を目にしたそうです。時間が何百年も前から止まっている墨絵のような世界を表現しています。