夢・見る・ピノキオ

放送内容

2012年04月08日放送

Vol.153 4月8日  春の予感

  • 遅い春が、足踏みしながらやってきました。雪の間から顔をのぞかせるちょっぴり恥ずかしがり屋の春。今宵は、そんな春を探しながら、季節の移り変わりを感じて。この季節ならではのアレコレ…ピノキオ流の春の愉しみ方をどうぞ。

まず、宮沢賢治さんも春に訪れたという小岩井農場へ。心象スケッチ「春と修羅」の中に収められている長編詩「小岩井農場」には、大正時代の農場の春の風景が生き生きと描かれています。賢治さんが小岩井を訪れたのは5月のことでした。ちょっと早かったようですね。それでも春の息吹があちらこちらに。そしてまきば園のミルク館でも春を感じることができます。春の新作ジェラート「そのまんまいちご」です。とちおとめをふんだんに使い、粒々感まで味わえます。「そのまんまいちご」はピュアミルクとダブルで。凝縮されたフレッシュな美味しさが魅力です。賢治さんの長編詩・小岩井農場には、たびたび「桜」が出てきます。でもそれらは、岩手山を背景にした有名な一本桜ではありません。一本桜は、明治の末に植えられたと言われ、賢治さんが訪れたころは、まだ細い若木だったことでしょう。そんなことを考えながら桜を眺めるのも感慨深いですよね。桜が咲くころにまた来ましょうか。

小岩井農場まきば園

【時間・料金】〜4/19は、9:00-16:30 入園無料       4/30〜は、9:00-17:30 大人500円、子供250円
【休園】4/12
【TEL】019-692-4321

小岩井農場というと羊も有名です。ここで春色の毛織物のお話を少々。盛岡は青山の「蟻川工房」。染色、そして紡ぎから織りといったホームスパンの技術を守り伝える数少ない工房のひとつです。ここで作りだされる織物は、シンプルなデザインと風合い。気持ちのいい質感が嬉しい作品ばかり。まだまだ肌寒い春、ぬくもりあるホームスパンで。ピノキオは、気分が明るくなるナチュラルな春色で、小物を作ってもらうことに。ホームスパンは、色を混ぜ合わせ、思い通りの色を作っていきます。今日は春の「菜の花色」。ハンドカーダーを使って、絵具の色を混ぜ合わせるように、少しづつ色をつくっていきます。心が和むような春色が完成しました。そしてゆっくりゆっくり手紡ぎで毛糸に。菜の花色、そしてそのほかの明るい色で作ったホームスパン。春にぴったりのマフラーなど、手触りも良く、ほっこり感じられる品々です。手に取り体を包んでみると、手間暇かけて作り上げた良さを実感できます。今からの季節、シルクのマフラーも軽やかでいいですよね。淡い春色に包まれて、外へ飛び出したくなります。桜色のマフラーは心がウキウキしますよね。温もりに包まれながら、心ときめく春を待つのも素敵ですよね。

蟻川工房

【住所】盛岡市青山4-42-7
【時間】9:00-17:00
【定休】土日
【TEL】019-645-4225

可愛らしい花たちが、少しづつ顔を出し始めました。桜も待ち遠しいですよね。今回ピノキオが注目したのは、平泉の束稲山です。平安の歌人・西行法師がこんな歌を詠んでいます。束稲山は当時、吉野にも劣らない桜の名所だったよう。近年、その西行の桜を復活させようと盛んに植樹が行われ、現在3000本の桜が植えられています。

咲き誇る桜を思い描き、こんな待ち方をするのも…。造り菓子の竹芳です。竹芳には、四季折々の上生菓子があります。こちらの錦玉製(きんぎょく)の生菓子は、水面に映る桜を表現したもの。とても繊細ですよね。竹芳の季節を映す彩りの生菓子をいただきましょう。ひとつひとつ丁寧に作り上げたそれは、どれもがとても上品。目で見て愉しんで、食べて繊細な美味しさを味わって。春限定の和菓子もあります。わらび餅です。ファンも多いという「わらびもち」は粘りが強く、きめ細やか。上品なコシ餡もなかなか。今月20日頃までの販売です。

造り菓子 竹芳

【住所】盛岡市東安庭1-6-2
【時間】9:30-18:00
【休】無休
【TEL】019-653-6158

もう一軒、今度はお団子屋さんを訪ねてみましょう。盛岡は上田の美勝堂(びしょうどう)です。生醤油をからめた“盛岡だんご”を筆頭に、コシのある素朴で懐かしい味わいが人気。店を構えて40年以上。美勝堂では、夫婦2人でお団子やお餅作りをしています。こちらは、春ならではの「草もち」。かなりサイズが大きめの草もち。春らしく、香り豊かで爽やかな美味しさです。粒あんも甘すぎず、ぺろりとイケちゃいます。うっすらピンクに染まった道明寺は、お花見のお伴にぴったりのサクラ餅。こちらはコシ餡です。塩加減と甘さのバランスがいい一品です。花に思いを寄せていただく和菓子、そして花見のお供のお餅。さてさてお次は…。

盛岡だんご 美勝堂

【住所】盛岡市上田3-13-33
【時間】8:00-18:00
【休】無休
【TEL】019-624-2797

県南ではこんな山菜も…。春の風物詩・タケノコです。奥州市水沢区、吉小路(きちこうじ)。ここに歴史を感じる門構えの老舗割烹があります。門をくぐると上品な春が迎えてくれます。ここでは5名から季節のお弁当がいただけるのでお邪魔してみることにしましょう。一番奥の由緒ある部屋へ。明治時代の屏風には、サクラが描かれていました。風情がありますね。季節のタケノコは、アクを抜くために切り目入れて2時間ほど粕汁に漬け込み、使います。そして次は、先付けにするという葉わさび。葉と茎を細かく刻んで、湯通しし、水で〆ます。味付けに使うのは色がキレイに出る白しょうゆです。白しょうゆは、色だけでなく 味と香りもなかなか。おもてなしの心を大切に、ひとつひとつ手をかけた春の食材が 器を彩っていきます。水沢の割烹「梅小花」のさくら弁当はとてもキレイ♪春の玉手箱といったところ。サクラご飯は、薄い塩味。ダシも効いて美味です。そして香の物も少々。山菜も入ります。ご飯だけでなく煮物にもタケノコが…。天ぷらには、山海の幸があふれます。春の魚・サワラは塩麹に漬けたもの。その相性の良さといったら…。旬の食材の良さを味わいながら、春を愛でる…幸せなひとときが流れます。もうすぐ春本番。可憐な花が風景を彩り、力強い生命力が溢れる季節です。移ろいゆく季節の一瞬を楽しみに、さぁ、出かけましょう。お弁当1500円〜の予約は5名様から

梅小花

【住所】奥州市水沢区吉小路48-4
【時間】11:00-21:00
【休】無休