番組審議会

この議事録は公式の議事録をそのまま掲載するものです。

第319回 番組審議会 議事録
平成10年2月17日(火)
テレビ岩手

第319回番組審議会

1.日時

平成10年2月17日(火) 午後1時00分~

2.開催場所

テレビ岩手本社6階大会議室

3.委員総数

13名

  • 出席委員
  • 11名
  • 出席委員
  • 委員長
    橋 口 誠 之
    副委員長
    谷 村   繁
    委員
    三 原 まなぶ
    委員
    菅 野 耕 毅
    委員
    深 谷 政 光
    委員
    斎 藤 徳 美
    委員
    二 宮 柊 子
    委員
    澤 口 たまみ
    委員
    岩 渕 孝 男
    委員
    岩 動   孝
    委員
    玉 山   哲
  • 欠席委員
  • 委員
    田 沼 征 彦
    委員
    勝   雅 行
  • 社側出席者
  • 伊 勢 卓 夫(代表取締役社長)
    中 野 士 朗(代表取締役副社長)
    清 水 秀 夫(専務取締役業務事業担当)
    新 沼 栄 喜(常務取締役業務局長)
    天 野 雅 行(取締役事業局長)
    阿 部 孝 夫(取締役報道制作局長)
    村 田 憲 正(報道制作局次長)
    鈴 木 直 志(アナウンス部長)
    渕 沢 行 則(制作部長)
    大 村 精 一(業務部長)
    近 藤 英 一(制作専任部長)
    加 藤   浩(アナウンス副部長)
    遠 藤   隆(報道副部長)
  • 事務局
  • 青 山 尚 之(編成部長)
    小 原   恵(編成部)

4.議  題

1.テレビ岩手の天気予報について
    ※前回の審議で御意見のあった天気予報について
     テレビ岩手から説明
2.ヒューマンスペシャル
  「命・闘いの日々~岩手医大循環器医療センター~」について
   (1月31日(土)17:30~18:00放送)
                    ※東北6県時差ネット
3.「いわてっ子ばんざい」について
    (毎週日曜日 10:55~11:10放送)
4.その他御覧になった番組についての御意見

5.議事の概要

前回の審議で意見の出された「天気予報」のテレビ岩手のシステムについて社側から説明があった後、
  議題の番組「命・闘いの日々」について
 ・岩手に高度な設備をもつ循環器医療センターができ、難病の女性患者が手術を受け、無事退院するまでを紹介しており、自信と安心感を与えた。
 ・患者の悩みや喜びがよく描かれていた。
 ・専門的な話をあつかっていたので、視聴者に誤解を与えるような内容や、専門知識の部分では、ナレーションやテロップを使い、わかりやすくしたほうがよい。
  また、「いわてっ子ばんざい」について、
 ・乳幼児を持つ母親にいろいろな情報を提供しており、ほのぼのとしたよい番組である。

など、活発な意見が交わされた。

6.審議内容

別紙のとおり

7.審議機関の答申又は改善意見に対してとった措置及びその年月日

特記事項はないが、キー局及び関係局、関連部署に議事録を配布するなど、関係者に審議の内容を伝えた。

8.審議機関の答申又は意見の概要を公表した場合におけるその公表の内容、方法及び年月日

・自社制作番組「あなたと歩むテレビ岩手」(平成10年2月24日午前11時50分放送)で、審議の概要を放送。
・平成10年2月18日(水)付読売新聞岩手版で公表。
・支社・支局に議事録を設置
・当社のインターネットのホームページで議事録を公開。

9.その他の参考事項

資料として以下のものを配布
・テレビ岩手自社制作番組スケジュール表(1998年1月~3月)
・視聴者からの意見の概要

議事の内容

事務局

皆様、おそろいになりましたので、番組審議会を始めさせていただきたいと思います。今回、社の方から報告申し上げることは特にございません。それでは、橋口委員長よろしくお願いします。

委員長

それでは、前回、天気予報について委員の方からご意見がありましたので、局側から説明をお願いします。

社 側

お手元に「テレビ岩手の天気予報」ということでこれまでの取り組みを簡単にまとめたものをお配りしてます。テレビ岩手の天気予報というのは、地方ローカル局としては、先駆的役割を果たしてきたと思っております。まず、昭和59年に、東北、北海道地区で初めて気象庁からのデータをコンピューター処理して、CG(コンピューターグラフィックス)を使った画面でできるようになりました。見た目は、コンピューターグラフィックスに変わったというだけなのですが、実は内容が大事でして、気象庁から出される膨大なデータを一般気象予報会社と契約し、そこで処理整理しまして視聴者にわかりやすい形で、しかも瞬時に放送することができるようになりました。天気予報というのは命を左右する情報だというのが私たちの共通の考えです。岩手県内で戦後だけでも45人、昭和に入りましてからは384人の方々が大雨とか、台風、洪水、なだれ、海難事故を含めた天候の変化による災害で亡くなっています。それ以前の地方局の天気予報というのは、気象台から電話で受けたものを書きうつし、天気図は気象台に車を走らせ、気象予報官が線で下書きしたものに私たちの美術の者が筆で等圧線を書いて放送するという悠長なことをやっておりました。これでは人命を救うという段階までいくのはむずかしいということで東北、北海道地区では初めて、こういったものを導入いたしました。契約した会社は当時オーシャンルーツと申しましてアメリカに本社のある会社の日本法人で当時、巨人戦のある後楽園や、東京ディズニーランド、夏の甲子園大会で独自の予報を出して注目されておりました。この会社はウエザーニューズと改称し、アメリカの法人を買収し、現在では世界12ヵ国に拠点を持つ世界最大の民間気象予報会社です。NHK、日本テレビはもちろん、宇宙開発事業団がロケット打ち上げの際に天気予報の情報を得る、あるいは東海大地震に備えた静岡県の防災システムなどもウエザーニューズ社が引き受けています。このコンピューターデータ処理の天気予報の開始と同時に、テレビ岩手で生活情報、そして農業気象情報に重きを置いた番組ができないかということで「ウエザーウィークリー」という番組が始まりました。気象台長を務められた三宅ひとしさん、昆幸雄さんと二代にわたり専門の方に来ていただいて、いろいろな生活情報、この季節にはどういう農作業あるいは、岩手県ではこの辺ではこういう雨や風の注意が必要という番組を制作し、好評を得ました。  その後、昭和62年にはコンピューターシステムによる地震速報システムの運用開始があります。それまでは電話、やがてファックスも普及しましたが、データを受けてから社内で字幕テロップを制作して、スーパーするという形でしたが、これも即、画面にスーパーができるようになりました。また、それと同時に、お天気カメラの設置が始まりました。本社屋上を始めとしまして、釜石、宮古、そして花巻空港にあります。こうした現地の画面を視聴者に見ていただきながらお伝えし、現在の状況がわかるという天気予報です。
 また、正確な気象情報の放送というものを心がけています。ウエザーニューズ社には、テレビ岩手担当の気象予報士がおりまして、3交替で24時間岩手県の天気を見ております。地元の盛岡地方気象台からの予報がきますので、そうしたものとウエザーニューズ社の独自の予報との比較検討もして、独自性のある役に立つ天気予報を心がけております。平成5年に『気象予報の自由化』ということが行われました。気象庁だけが予報を出すのではなくて、民間の気象予報会社が気象庁が集めたデータをもとにして独自の解析を加えてわかりやすい形で、あるいはこれまでなかったようなスタイルの天気予報ができるようになりました。いわゆる気象予報士が誕生していくわけです。そして、各局、独自の天気予報があるわけです。テレビ岩手では各都市の細かい天気予報例えば、子供が小岩井農場に明日遠足だが、小岩井農場の天気はどうかといったピンポイントリクエスト予報が独自にできるようになりました。それからさまざまな生活に密着した予報、桜開花予報とか、紫外線情報、スキー場情報、今ちょうど放送していますが水道管凍結情報というのがあります。それから杉花粉とか、降雪量予報もあります。最新の気象予報と地震速報に対応して現在も日々改良を加えております。地震津波が岩手県にとっては非常に脅威なのですが、日本テレビ系列と、ウエザーニューズの地震速報のシステム、万が一に備え2系統で対応しております。また、津波予報が、これまで地震発生から7分から10分ぐらいかかっていたものが、現在2~3分で津波がある、なしがわかるようになってきています。それから、量的気象予報の対応ということで、気象庁でスーパーコンピューターを使いまして、大規模な大気の動きが正確にわかるようになってきました。また、地震についてですが、阪神大震災後、各自治体でたくさんの震度計が設置されております。気象庁ではこれを全部取り込んで地震の災害に役立てようとしております。予知はむずかしいでしょうけど、正確な被害の把握に役立てようとしておりまます。今のところ1210ヵ所あり、最終的には3600ヵ所になることになっています。私共としては、3600ヵ所のうち岩手県の視聴者にわかりやすい形で取捨選択、グループわけをして見やすい形で放送しようと思っております。
 実際の天気予報の画面をお見せします。今、ちょうど夕方、先週の木曜日ですね。雷が鳴っています。このようにして、現在の天気をお天気カメラもそうですが、外に出て伝えることにしています。NHKも含めて、天気予報は主にスタジオの中でやっているのですが、外からの中継を見ていますと、盛岡では雷が鳴っているからうちの方ももうすぐかもしれないとか、雪が降ってふぶいてすごいなと、実感します。また、天気を伝える方も今日は本当に寒い、暑いと、自分で感じて話します。実感を大事に実際に現在の状況が正確に伝わるようにしております。なるべく生のものをそしてお昼のニュースは、お天気カメラを使い曜日ごとに変えております。
 前回、ご指摘がありましたように内陸、沿岸北部、沿岸南部というわけ方だけでなく、都市予報というものがあります。この部分がいわゆるウエザーニューズのもので、ゲレンデインフォメーション今、放送しています各スキー場の情報なのですが、積雪やお天気ということで放送しています。次は桜の開花情報ですね。画面を3タイプ持ってまして、隣の県まで広げた情報を流しております。これは、紅葉情報です。そして、洗濯情報。生活に密着したものをということでこういった水道管凍結情報もやっています。これはピンポイントで沢内村のものが出ていますが、県内市町村全部登録してありまして、その天気が出せます。実際には、リクエストのおはがきをいただいてそれに応対するという形をとっています。これは、雨の3時間予報です。時間がたつにつれてだんだん移っていくということで、これもコンピューターグラフィックを使っています。これをご覧いただきたいのですが、以前私共で使った画面です。各都市の午前9時、午後3時、午前の天気、午後の天気ということでやっておりましたが、これですと収容できる都市が8都市にすぎません。岩手県は四国四県ほど広く気象台の方にうかがいますと、15ぐらいのブロックに分けないとそれぞれの住んでいる方にぴったりと合った天気予報にはならないということです。15ヵ所に分けるというのはなかなかむずかしいですね。人口が多いところもありますし、少ないところもあります。そこをどうバランスをとって放送していくかということが問題になります。気象台では、昔から一番気象の変化の大きい内陸と沿岸北部、沿岸南部に分けています。5年ほど前から、県南部で天気が違う場合には、付加的に内陸の方に原稿を付け加えています。コンピューター処理上は内陸は1つになってでています。なるべく視聴者の多いところの情報をと考えなければいけないと思いまして、こういう格好にしました。新聞各紙もこういう天気予報です。時間割というのは見やすいですね。表現上地図を使ったものがいいのかもしれませんが、各都市見ていただきたいということでこういう形になっています。
 それから地震の方の話ですが、これが現在の岩手県の地震計測のポイントです。20ポイントぐらいありますが、このデータを画面上に全部出すことが視聴者にとってサービスかというとちょっと違うのではないかと思います。ウエザーニューズと相談しまして、どこに一番危険性があったかということをわかりやすく伝えることを第1にしています。現在の課題としては、「やませ」に対する予報ができないものかと考えております。注意報、警報については、気象台が専門にやることになっていまして、民間の予報会社は扱えませんが「やませ」が来週来そうだとか、今週末のあたりに「やませ」がありそうだということが予報できるか検討しております。何年か後には実現するかもしれません。以上のような取り組みをしておりまして、今後もよりよい天気予報にするよう努力していきたいと思っています。

委員長

どうもありがとうございました。天気予報について何かありましたら、後ほどご発言の中でいただきたいと思います。今回のテーマであります「命・闘いの日々」についてのビデオお願いします。

─ビデオ視聴─

委員長

どうもありがとうございました。それでは、ご意見をお願いします。今回のテーマは、今ご覧いただきました「命・闘いの日々」と「いわてっ子ばんざい」ですが、他の番組についても結構ですのでお願いします。

委 員

まず、先程説明いただいた天気予報ですが、例えば、旦那さんが明日、東京や仙台や大阪に行ったりという時に、奥さんが天気予報を見る時に行先の予報が知りたいなど、必要な情報はさまざまだと思います。基本的にローカル局の天気予報というのは、ローカルに徹しているためにキー局、全国ネットの天気予報と2回見なければなりません。地域を網羅するというのももちろんですし、短い時間でそういった情報もやれれば視聴者が何度も天気予報を見なくてもいいということで信頼感にもつながると思います。
 それから「ヒューマンスペシャル」を拝見しましたが、いきなり“死”というコメントが出てきましたのでびっくりしてしまいました。番組の最後では、手術した女性が元気になって退院ということで感動を覚えたのですが、ナレーションで「死の宣告」という言葉が10回くらい出てきて、患者さんが元気で動いているのに、何度も出てくるのはどうかなと思いました。死というより命の大切さという方が重要だと思いますのでそういう言葉が少し気になりました。番組の中で循環器医療センターの仕組みや、特徴が文字情報で、例えば、この患者の場合はこういう状態とか、こういう科の人たちがこのようにチームを組んでというようなところの説明が2、3ヶ所あれば番組が締まったと思います。動く場面が多く生の臨場感というのは伝わりますが、文字情報を入れないと一般視聴者にはわかりにくいのではないかと感じました。

委 員

今拝見した番組ですが、東北初の循環器医療センターということで、それを紹介するのは、岩手県、盛岡市、岩手医大にとっても、うれしい番組だっただろうと思いました。医療現場ではいろいろなことがあると思いますが、よいことばかりでなくその中でもよいシチュエーションを選んだと思います。東京方面で手術不可能だと言われた若い女性が岩手に来て、手術を受けて元気になるという番組で、岩手県でも部分的に心臓移植手術をしているということが良くわかった番組だったと思います。もう1つは、平盛先生のやさしさ、謙虚さ、それから川副先生のあふれる自信というのがとても対照的だと思いました。特にコメントの中で、外科と内科とは違いがないんだよという安心感を与えるものがあった一方、患者さんに対してもし治療を受けなければ命がなくなるんだよというコメントがあったというところで、そういう意味で自信だけでなくある種の傲慢さとも受けとられてしまい、これは外科系のお医者さんにはありうることかなと思いました。全体的にはとてもよい番組でした。これからもっともっとこういう進んだ医療が岩手県でもできるということを紹介していただきたいと思います。

委 員

「命・闘いの日々」はたまたま舞台が私が働いている会社のビルの隣だったものですから、関心を持って見ていました。毎日、窓からあのビルをながめていまして、時々、患者さんが窓から見えるのですが、あまり人がいないように見えました。実際テレビで見ましたら大変な先生方の数で、さまざまな患者さんがあの建物の中にいたのだと、側にいてもそういう事実を知らなかったということに驚いています。オープンする前に建物を見学させていただいた時は、研究するとか、会議する部屋の立派さが目立ちました。番組では実際に器具が入った医療現場が紹介され、高度医療のすばらしさというものを感じました。ドキュメンタリーの内容もさることながら、こういう高度医療が盛岡の町のまん中で行われていることの報道が、岩手県の住人に、そして盛岡の人たち、北東北の人たち皆に安心感を与えたという意義は大変大きかったと思います。意外と近くにあってあまり知られていないすばらしい施設を紹介してくださったことに感謝申し上げたいと思います。全体を見ておりまして感じたのは、死ぬかもしれないと言われた由香さんという女性がそれにもかかわらず非常に明るくとらえられていましてほっとしましたし、また治って退院できた後の先生方のコメントも非常に良かったと思いました。30分という短い時間だったのですが、大変よい番組だったと思います。

委 員

まず、天気予報について丁寧なご説明がありまして、命を左右する情報だという認識で行っているということで非常に私は感動しました。生活者としては、凍結情報やお洗濯情報を非常に参考にさせていただいています。ありがとうございます。
 それから、ヒューマンスペシャル「命・闘いの日々」に関しましては、横溝由香さんという難病に冒された方の闘病と手術と退院ということでご本人の精神力の強さと治った喜びが描かれ、感動がありました。東京の病院では拒否された治療が岩手でできたという誇りがありますし、東北で初の医療がここ盛岡で受けられるのだという安心感がありまして、大変良かったのではないかと思います。しかし、繰り返しになりますが、どうもひっかかってしまったのが、医師たちのミーティング風景でした。「言ってあげなさいよ。もう死ぬんだって」という言葉が非常にインパクトがあり、そこでギクッとなりまして、それは生死に対する意識の差で、現場では何となく会話している言葉が、見ている私にとっては、家族や友人が入院したときにふと感じる最先端医療の冷たさのようなものを思いださせました。もう一度繰り返して見ると、医師は助かるために手術が必要だという熱意から発している言葉だとわかるし、ヒヤリとした原因はその言葉だけでなく、まわりの医師からもれた笑いではないかと思います。その笑いにしても日々、患者さんに手術を説得している現場の苦労から出た苦笑という風に理解できたのですが、テレビ放送を見ている一般の人たちというのは今の言葉、笑いが本当はどういう意味で言ったのか、ビデオを巻き戻して見る人ばかりではないと思いましたので、気にかかった人が私以外にもいなかっただろうかと心配させられた場面でした。

委 員

天気予報のくわしい説明ありがとうございました。私も凍結情報や洗濯情報は毎日見ておりますが、各都市部ですか、何ヵ所かに分けて説明していただけるのはいいのですが、時間も小刻みに分かれてまして、あれはちょっと見づらいのでもう少し単純にならないかなと思っています。
 それから「ヒューマンスペシャル」を見させていただきましたが、そばに住んでいて、あそこのビルには医大のどういう施設があるのかと思っておりましたところ、こういうテレビ番組を制作していただきまして、この病院ではこういう治療をやっているのだということが初めてわかったのは、本当に良かったと思います。自分の身内に病人を持っていますと内科、外科、小児科、放射線科と、検査、検査であちらの科、こちらの科に回されて結局、疲れてそれで体力を落としたりすることを見たり聞いたりしております。こういう風に一貫した医療施設があることを知りまして、本当に良かったと思います。私もどうしても教授が「死ぬんだよ」という場面の笑いが後に残ってしまって、今日また見させてもらって、画期的な循環器センターを紹介しているのに、こういうところでちょっと損をしたのではないかと思いました。また、ダイジェスト版にはなかったのですが、横溝さんのお母さんのコメントがすごく聞きとりにくかったということを感じました。

委 員

岩手県と言いますと、過疎ということで技術の面でも最後は東京、仙台にはかなわないという、これは錯覚なのですが、そういうイメージがあるわけです。ですから特に医療の面で循環器医療センターが出来て、最先端のハードの設備、人のチームワークとか、岩手でこれぐらいできるようになったということを理解できたのは非常に大きいと思います。テレビの特徴として、百の言葉で言うよりも映像が大事だということで、若い女性が東京でも治療できなくて岩手にやってきて無事退院していく、その笑顔、姿が映像で出てきたということは私たち県民に地元でもベストの治療が受けられるという認識と安心感を持たせたのではないかと思います。
 もちろん、細かい点ではいろいろとありまして、例えば先生方の話ですが、私は専門的に考えると、死という問題は内々では、かなり具体的なことが出てくると思うし、それがまた命を助けるという自信にもつながっていくと思います。多少傲慢さがあっても極端に言えば、それなりの自負と腕がなければやっていけないと思います。ただ、一般の方々がご覧になる番組ですから、ちょっと残念だったのは「死ぬんだよ」という言葉、私はインパクトがあったけれど抵抗はなかったのですが、その後の苦笑の笑いのようなシーンは誤解を受ける恐れがあったかもしれません。先生方のそういった反応は、決して軽視したものではなくて、患者をどう説得して助けていこうかというバックグラウンドに根ざしたものですが、そういう風に聞こえないというあたりは、この場面はちょっと避けた方が良かったかなと思います。表現は悪いですけれども、私はお医者さんにかかるなら多少性格が悪くても腕の良い人をと思います。今日の先生方は人が悪いという意味ではないですよ。私はそうとらえた場合、違うのだということを言いたいのです。
 鈴木アナウンサーのナレーションというのは非常に信頼感があって、安心して聞いていられるというのがあります。いくつか印象深かったナレーションがありまして、確か「死の恐怖だけでなく、これからは希望と不安を持てる」というところだったと思います。我々、実は、不安は持ちたくありません。できるだけ楽観して生きたいです。その不安を持つことすらできない状況からこれも大きな前進なのだと、不安があることも元気で生きている証なのかなと思いました。
 番組では循環器センターで助かった患者のお話を紹介しましたが、この広い県の中でせっかく盛岡にこれだけの医療設備があっても、どうやってここまで人を運ぶのか、これを生かすソフトの面もこれから大事なのだということを感じました。

委 員

皆さんお話しなさいましたが、この番組の制作の意図はおそらく現在の医療の実力を知ってもらうということで、循環器医療センターという高度な設備ができて、医療体制がここまで備っているということを紹介し、普段まったくわからない我々にとってはすごいな、これは安心だなという感じを受けました。そういう意味でもとても良かったと思います。私事ですが、暮れに会社のスタッフが突然、心臓疾患で亡くなるということがありました。私は個人的に年一回ドックに行ってあっちこっち調べて糖尿の気があるとか、少し酒の飲みすぎだなどと言われながら、普段はなにげなく生活しております。まったく原因がわからない病気を持っている人のことは普段はまったく関知しようとしていませんでした。見ていてとにかくすごいと思いました。暮れになりますと、消防や警察の活動とか、交通事故とか、救急病院に入り込むとかいろいろな番組がありますが、岩手の盛岡の中にこのような設備があるということにとても感動しました。最初は東京の病院で受け入れてもらえなかったということですが、医療の技術とかいろいろあると思いますが、そのくらいすごいものなのかなと感じました。
 もう1つは、一般の人たちにとって、自分で朝起きた時にあれ、不整脈だと、心臓が悪いのではないかと思う時がありますが、そういう時にこういうところに行って、ご相談してもちゃんと診てもらえる場所なのか、そういう施設なのかということも、鈴木さんのナレーションで説明が入ればもっと良かったと思います。
 天気予報については、あれだけ技術を駆使したものですので、天気予報の前後の番組に関連して視聴率を上げるインパクトになっているのではないかということで前回お話申し上げたのですが、非常にいいと思いますし、今後も工夫を続けていただきたいと思います。予報では安定した天気で高気圧が来るときには、どこでも太陽のマークが出てくるのは想像つくのですが、そうではないとき、災害もそうですが、悪いときの状況がどうなのかということが一番関心のあることだと思いますので、それを伝えるために工夫されるといいと思います。

委 員

今、拝見した「ヒューマンスペシャル」ですが、全国で大阪、東京女子医大、そして3番目の専門的な医療機関であるということで取り上げられたことは良かったと思います。特に一人の患者さんの病状や治療法を一貫フォローする形での作り方はとてもわかりやすくて良かったと思います。今度の循環器医療センターには、内科、外科、小児科、放射線科、そして必要として麻酔科もあると思いますが、大勢の専門家が一人の患者に対していつも一番よい治療法を話し合うというやり方は、新しいやり方だと思います。その辺もよく取材されたことがよくわかると思います。もう1つ、退院されてからも患者さんのその後の様子を取材されて最近の状況を付け加えられたのは安心感を与えられると思いました。
 1つ気になるのは、どういう治療をするかというスタッフ全員の検討会の様子の取材です。そのことは、大変新しいことで、しかも、シナリオがあるわけではなくて、実際のものですからそれは大変いいと思いますが、ただやはり、若干抵抗を感じる方もおられたと思います。それは「このままでは死ぬんだよということを言いなさい」というかなり強いことを言われたわけですね。それと若干の笑いですか。しかし、あれはプロフェッショナルな人たちの集まりの検討会であるため、ある意味ではあのような雰囲気になると思います。他の分野でも例えば、地震の検討会。ここで地震の検討をするときには専門家としてのいろいろな議論が出ると思います。そういった場を生のままで撮ることのむずかしさを感じます。こういう医療については2つ大きなポイントがあると思います。1つは、先端技術を使っているということです。もう1つは患者さんと医療スタッフとの間のコミュニケーション、インフォームドコンセントというもので私はそういう方を専門としておりますので、関心を持っているのですが、そのインフォームドコンセントの一部分だと思います。患者さんにこのような手術をしますという説明をしても患者さんの方ではそれを迷うことがあるわけですね。受けようか、拒否するか、そういう場面で若い医師がいろいろな努力をして、その報告をしている状況ですからあの主任教授の言葉には、あなたの説明が足りないという裏の意味があると思います。ですから、その言葉をそのまま受け取るのではなく、完治・退院という共通の目標のもと、実は患者さんの理解が充分でない時に医師もイラ立ってくることがあるのではないでしょうか。その辺のむずかしさがあの場面にあったと思います。私としては、医師と患者の関係ということを考えながら、いろいろな思いで見ておりました。肯定的でも否定的でもなく、今後そういうインフォームドコンセントというのはさらに進んでいくと思います。それを報道する際に注意するとすれば、一般の視聴者が聞いて本質とは違うような誤解を与えることばには、ナレーションなどで説明を加えること、たとえば教授はもう少し説得すべきだと若い医師に注意をしている場面などと入れるとよいと思います。内輪で議論し合っている場面だと思いますので、そのようなことを感じました。

委 員

非常にまとまりがあってすぐれた番組だったと思います。循環器センターというのは、どういうことをやるのかということを認識しておりませんでした。私自身があまり病院に通ったことがないものですから。ところが、最近、私の身近な人が急性の心臓病にかかりまして命にかかわる疾患でやはりこの医療センターにお世話になっています。短期間のうちに手術をして回復して、これはすごいなと感心しました。今度の番組は、患者の由香さんとセンターのスタッフの取材が非常によくまとめられていて、我々素人にも循環器センターの役割の一端というものを強く認識できたと思います。このセンターの設備がいかにすごいか、また、その主任の教授の技術というのはおそらく日本のトップレベルの技術だと思います。そういうスタッフが全部そろっていて、初めて医療効果として成功につながっていくと思います。そういう点でこの時間内でこの一人の難病の患者の入院から退院後までよくとらえて、映像化しているというのは良かったと思います。

委 員

私はこのドキュメントタイトルが「ヒューマンスペシャル」ということで、患者側に立ったドキュメントというものを期待していました。この番組の中ですごく感動したのは、父親が患者の娘を背負う写真がありまして、病院を転々としているというナレーションがあり、それから母親がアパートを借りて患者に食事を作っているシーンがありまして、すごく印象に残っています。もう少し突っ込んでいけたらと思いましたのは、どうやってこの人たちが医療センターを知ったのかというところをもっと知りたかったと思います。それから、岩手県盛岡市につくられたこの施設の需要と必要性というのは数字的にどれくらいなのだろうかとも考えました。手術のキーポイントはホモグラフト、アメリカから買い入れて人工心臓として移植したというところだと思いますが、アメリカから買い入れたいきさつ、日本ではつくれないのかなと思ったものですから、その辺のいきさつや、手術のキーポイントを図か何かで説明していただければ、もっと焦点が絞られたと思います。いずれにしましても、大変りっぱな施設ですので、患者さんに焦点を当てていただければ「ヒューマンスペシャル」というタイトルに近づいたかなと思います。

委員長

ありがとうございました。委員の方のご意見をいただきましたのでまとめをさせていただきます。「命、闘いの日々」は、岩手医大循環器医療センターをクローズアップした番組でしたが、総合して、高度医療、これが岩手で行われている、首都圏の大学病院でうまくいかなかった患者さんが盛岡に来て、手術が成功して退院されていくということに、自信と安心感を持ったということで、非常によい番組であったという評価をいただきました。その内容としては、高度な医療機器のハード面、あるいは、先生方の技術の高さ、それだけではなくて、内科、外科などの医師がお集りになって一人の患者さんの治療方法を総合ミーティングするというソフト面も非常に優れているというご感想を持たれました。合わせて、患者さんの悩みとか、喜びもよく出ていたということです。一つ共通に委員の先生方が気になられたのは、内科医のやさしさ、外科医の自信は良かったのだけれども、現場の医師たち、専門家の会話は非常に熱意があった反面、冷たさとか傲慢さも垣間見られてちょっとヒヤッとしたというご意見がございました。一方では、その背景にはインフォームドコンセントのむずかしさとか、それに対する努力というのがああいう形で表れて、編集をする時にもう少し視聴者が不安を覚えないような工夫が必要ではなかったかというご意見もございました。併せて、非常にむずかしい専門的な話を映像で追っていたのでテロップとか、図の解説が少しあったらもっと良かったのではないかという意見もございました。総合しまして、非常にすばらしい番組だったという先生方のご評価をいただきまして、岩手の中ですばらしい自信の持てるような他のテーマも同じような形で追いかけていただくとありがたいと私も思いました。
 それから、天気予報に関しまして、くわしい説明がございましたが、身近な生活情報から命を左右する情報まで、天気予報はしばらくの間に相当進歩して、正確さとか、早さとか、ピンポイントでの予報もできるということでご説明をいただき、非常に勉強になりました。一方で注文がございまして、地域予報としてごまごました予報をされていますが、遠出をする時の全国情報も一部入れられたら便利ではないかというご意見もございました。
 それから、「いわてっ子ばんざい」についてですが、この番組、乳幼児を持つお母様方がメインターゲットだと思いますが、いろいろな情報を提供していると思います。私が見させていただいたのは、おばあちゃんからお母さん、お母さんからお孫さんに岩手の特有の手作りのお菓子を伝えるという内容で、そば焼もちとか、きびだんご、じゃがいも入りの焼もち、などを作って食べさせてあげて子供たちはまことに喜んでいました。おばあさんからそのやり方を教わっているお母さんも勉強して、毎回、岩手県の子供たちがどう育っているか、非常にほほえましい中で、ほのぼのとしたいい番組だったと思いました。以上委員の先生方のご意見をまとめながら申し上げましたが、全体的にあるいは個々のご意見に対して局側からご説明お願いします。

社 側

「命・闘いの日々」はミーティングの医師の言葉について御意見がありましたが、自分が患者の場合でも、痛い時は手術しようと思っていても、ちょっと良くなって痛みがなくなると、もう手術をやめてもよいのではないかと考えてしまうと思います。それに対して、「そのままほっておくと死ぬんだよと言いなさい」と、そこまで説得しなきゃダメなんだという意味で言っているのであって、患者がわからないところを強くはっきり言わなければダメだという意味に取りましたので、傲慢さといったものは感じられませんでした。今、委員の方のお話を聞いて、なるほどそういう取り方もあるのだと思いました。これから作っていく上では、非常に参考になる御意見を戴いたと思いました。

社 側

御意見をいただく前に説明すれば良かったのですが、先程お話がありましたように専門の循環器センターとしては、全国で3番目の医療機関でして、東日本の方では、東京女子医大に次いで2つ目の施設です。日本でトップレベルの先生がお集まりになった非常に優れた医療機関です。是非こうした施設を岩手県だけでなく、東北6県に紹介したいと考えこの番組は東北6県ネットで放送しました。

社 側

日本有数の病院、ソフト面を含めたそういう充実した施設がまわりにあるということを知っていただきたいということで制作に着手した番組であります。

委 員

番組の中で、今日のビデオの中にはなかったのですが、技術としてではなくて、いろいろな先生方をたくさん集めるのがむずかしいので東京の病院では断られたという説明がありましたね。

社 側

二人の教授は、大阪の循環器医療センターのもっとも優れたスタッフだったんです。

委 員

技術は確立されていますので、どの病院もできると思うのですが、技術を使いこなすハード面、それから循環器センターは心臓と脳の手術を同時にできる体制を備えており、優れた各科の人材を集めているということです。アメリカから輸入したホモグラフトを移植する技術の面で、そして、それを人工心肺にして、低体温にして蘇生させるという技術はすばらしいと思います。
 それからもう1つ。これだけの研究医療、大手術ができるということですが、ヘリポートがありません。ヘリの搬送ができないというのは、重要な問題だと思います。

委員長

他にご意見ございませんか。天気予報についていくつか御意見がでましたがいかがですか。

社 側

全国の天気予報が少ないということなのですが、「ズームイン朝」とか、「きょうの出来事」の中のものとかは、全国のお天気の後、地域のお天気になります。夕方の「プラス1いわて」につきましては、全国の天気と気温は入っております。お昼の天気予報は、ローカルということで、必ずしも全国の天気と連動していないことは確かです。時間的制約もあるものですから、どうしても地域情報が多いのですが、これは研究していかなければならない課題です。それから都市予報ですが、確かに見やすいかと言いますと、あまり見やすくないです。これも出す時に非常に迷いました。今の形でたくさんの都市を出すという目的だとこれしかないかなと思いまして、作った形式です。決して満足しておりません。もっと見やすい方法があるのではないかと思っておりますので、今後も検討したいと思います。

委員長

ありがとうございました。今日は、非常に活発なご意見が出まして、有意義な審議会だったと思います。

事務局

次回の番組審議会についてご説明します。次回は3月17日、第3火曜日、午後1時30分からテレビ岩手6階大会議室で行います。テーマは、夕方やっております「いわて特盛!5きげんテレビ」、これは月曜日から金曜日の4時55分から放送しております。ニュースも含んだ2時間ぐらいの番組です。個々の取材内容についてはいろいろとご意見があるかと思いますが、ローカルでこうしたワイドショーをスタートさせた意義とか、意味合いについても皆様にご意見いただきたいと思います。もう1つは、日本テレビ系列ネットで放送されます「カネボウヒューマンスペシャル」です。今年は3月3日火曜日、夜9時から放送されます。この2つの番組についてご意見お願いします。2つとも長い番組ですので、次回はビデオは特に御用意致しません。今日の番組審議会の内容は2月24日の11時50分から6分番組「あなたと歩むテレビ岩手」で放送します。