番組審議会
この議事録は公式の議事録をそのまま掲載するものです。
第317回 番組審議会 議事録
平成9年12月19日(金)
テレビ岩手
第317回番組審議会
1.日時
平成9年12月19日(金) 午後4時30分~
2.開催場所
ホテルメトロポリタン盛岡ニューウィング
3.委員総数
13名
- 出席委員
- 12名
- 出席委員
-
- 委員
- 三 原 つとむ
- 委員
- 菅 野 耕 毅
- 委員
- 深 谷 政 光
- 委員
- 斎 藤 徳 美
- 委員
- 橋 口 誠 之
- 委員
- 谷 村 繁
- 委員
- 二 宮 柊 子
- 委員
- 勝 雅 行
- 委員
- 澤 口 たまみ
- 新委員
- 岩 渕 孝 男
- 新委員
- 岩 動 孝
- 新委員
- 玉 山 哲
- 欠席委員
-
- 委員
- 田 沼 征 彦
- 社側出席者
- 伊 勢 卓 夫(代表取締役社長)
中 野 士 朗(代表取締役副社長)
清 水 秀 夫(専務取締役業務事業担当)
新 沼 栄 喜(常務取締役業務局長)
天 野 雅 行(取締役事業局長)
阿 部 孝 夫(取締役報道制作局長)
鈴 木 直 志(アナウンス部長)
渕 沢 行 則(制作部長)
大 村 精 一(業務部長)
- 事務局
- 青 山 尚 之(編成部長)
小 原 恵(編成部)
4.議 題
今年一年のテレビ岩手の番組について
5.議事の概要
今年一年のテレビ岩手の番組について
自社制作番組について、全国レベルに通じるような番組と、岩手を深く掘り下げ地に足のついた番組の両方を期待する。レギュラーの「5きげんテレビ」「夢・見る・ピノキオ」が定着した。
731部隊を取り上げた番組は勇気があり、内容的にも心に残った。
紫波の山火事の報道の対応が印象的だった。
東和町の自主減反の番組は、継続取材を希望する意見を受け、続編を制作した対応に好感を持った。
スポーツ番組にますます力を入れて欲しい。
農業問題を取り上げる際、現場でがんばっている人たちを表に出すことで、力づけるような番組を制作して欲しい。
など、活発な意見が交わされた。
最近発生した“ポケモン”の事件について、過剰反応を危懼する発言、また画像の技術的基準の検討や、不測の事態に対応するための体制づくりを期待する発言が出された。
テレビ岩手は、今年1月「放送倫理ガイドライン」を定めたが、それに関連して、事件の被害者の実名報道にも配慮が必要ではないかとの意見が出された。
6.審議内容
別紙のとおり
7.審議機関の答申又は改善意見に対してとった措置及びその年月日
特記事項はないが、キー局及び関係局、関連部署に議事録を配布するなど、関係者に審議の内容を伝えた。
8.審議機関の答申又は意見の概要を公表した場合におけるその公表の内容、方法及び年月日
・自社制作番組「あなたと歩むテレビ岩手」(平成9年12月29日午前11時15分~11時30分放送)で、新委員の氏名と、審議の概要を放送。
・平成9年12月20日(土)付岩手日報朝刊で公表。
・平成9年12月21日(日)付読売新聞岩手版で公表。
・支社・支局に議事録を設置
・当社のインターネットのホームページで議事録を公開。
9.その他の参考事項
資料として以下のものを配布
・1997年年間テレビ岩手自社制作番組スケジュール表
・視聴者からの意見の概要(12月分)
議事の内容
事務局
定刻少し前ですが、皆さんおそろいになりましたので、番組審議会を始めます。テレビカメラが入っていつもと違う雰囲気なのですが、本日の会議の模様を12月29日に放送する「あなたと歩むテレビ岩手」という番組で紹介したいと考えております。カメラで撮影をしますのでご協力お願いしたいと思います。12月がテレビ岩手の開局になっておりまして、今回は新年度になっております。今日は番組審議の新委員の3人をお迎えして初めての番組審議会になります。では、最初に伊勢社長の方から皆様に委嘱状を渡したいと思います。
― 委嘱状贈呈 ―
事務局
岩手銀行常務取締役岩渕様、盛岡市医師会総務部長の岩動様、東山堂代表取締役社長の玉山様の3名の方に新しく委員になっていただきました。どうぞよろしくお願いします。では、社員の方を社長から紹介させていただきます。
社 長
後でまた名刺交換していただければと思います。テレビ岩手側を紹介します。副社長の中野士朗です。専務取締役の清水秀夫です。常務取締役の新沼栄喜です。取締役事業局長の天野雅行です。番組審議会の責任者でもあります。取締役報道制作局長の阿部孝夫です。アナウンス部長の鈴木直志です。制作部長の渕沢行則です。業務部長の大村精一です。それから番組審議会の事務局になります編成部長の青山尚之です。編成部の小原です。よろしくお願いします。正月の知事の対談番組の収録があり欠席しておりますが、報道制作技術担当の常務の横山、報道制作局次長の村田もメンバーです。よろしくお願いします。
事務局
では、続きまして新委員の3名の方々に御挨拶いただければと思います。岩渕常務の方からお願いします。
岩渕委員
岩手銀行の岩渕と申します。どうぞよろしくお願いします。こういった分野は初めてでございますが、一生懸命お役に立つようにがんばりたいと思います。
岩動委員
盛岡市医師会の岩動孝と申します。なかなかかかわったことのない分野でございまして、1つ1つが勉強だと思ってこれからがんばっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
玉山委員
東山堂の玉山でございます。そうそうたる顔ぶれで非常に緊張しておりますが、私も勉強しながらご迷惑かけない範囲で精一杯がんばっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
事務局
では、テレビ岩手の方から皆様に御挨拶させていただきたいと思います。伊勢社長お願いします。
社 長
今日は、年末の忙しいところご出席いただきましてありがとうございました。また、新しくご参加いただきます3人の先生方どうぞよろしくお願いします。昨日、民放連の理事会がありましてテレビ東京の社長がアニメ「ポケットモンスター」についての経緯を説明しました。今までと手法は変わっていないのだけど、ああいう現象が起きたということで専門の先生にも入ってもらって調査をしたいという考えでした。厚生省でも権威ある医学の先生方で委員会をつくるということでした。これは、テレビ東京だけの問題ではなくて、全民放が思いもよらなかったことです。民放連としても、テレビ東京とともに原因の究明にあたり、さらにNHKの方からも民放連と一緒にやりたいという話がありまして、原因を調査した上でアニメ及び子供番組についてのガイドラインを作らなければならないという話になりました。今までこういうことはなかったのですが、見ている子供が倒れるということはそれだけ強烈な刺激があったのでしょうし、テレビの影響の大きさということを考えると、これはできるだけ早く原因を究明したいと考えております。ここ2、3年、TBSの報道事件から始まってペルーのテレビ朝日の取材、さらに神戸の少年殺害事件、福岡放送のCMの抜き取り事件等、放送におけるいろいろな問題が世間の注目を集め、批判も受けております。それに対してNHK、民放は一緒になって放送倫理綱領を作り、さらに「放送と人権に関する委員会」を設け、民放連、NHKから離れたところで学者、裁判官、評論家等に参加していただいて、研究会を続けております。つい先日も、日弁連とキー局の編成局長の会議がありまして、取材についての勉強会もやっております。テレビ岩手も独自に放送倫理網領を作り、放送倫理委員会を設け、各種研修会もしております。また、CMの抜き取り問題があった時も、即座に点検して社内では一切不正が行われていないことを明らかにしました。
一方では、CS放送がいよいよ本格的に始まります。これには、東京キー局を始め、我々系列局一体となって参加していくということで日本テレビ社長も参入していきたいと言っています。そういう時代になりますと、ますます競争が激しくなり、今まで以上に番組に力を入れていかなければならないと思います。地域の情報をもっともっと質と量を高めていかなければならないと考えております。昨年放送しましたアニメ「KENJIの春」が放送文化基金賞を取りましたし、日本テレビと共同で制作しました「破壊される海」がギャラクシー大賞を取りました。また、CM部門では、民放連の連盟最優秀賞を取りました。先日、「火曜サスペンス劇場」をテレビ岩手発で全国放送しまして全国的に高い視聴率を取り、系列各社で高いところは20%を超えています。そういう意味でも成功したのではないかと思います。昨日岩手地区の視聴率が出まして、32.8%という今まで最高の視聴率です。全国に通用する番組を着実にテレビ岩手が作っていますし、ローカル放送につきましても、充実してきているのではないかと思います。
一方、事業の方も世界、日本の一流のものを岩手に紹介したいということで、今年もブーニンをやりましたし、スポーツイベントも多くやってきました。これからも続けていきたいと思います。
放送法が改正になりまして、番組審議会に対する期待も非常に強くなってきています。番組審議会の意見をテレビ局側がどういう風に受けとめるのか、あるいは視聴者からの意見でどういうものが来ているのかということを審議委員の先生方に報告し、番組審議会の内容をできるだけ知らせるということが義務付けられています。テレビカメラが入ったり、いろいろなことがありますが、どうぞそういう趣旨を理解していただければと思います。カメラが入ったからと言ってまったく遠慮は必要ないと思います。どんどん自分の意見を言っていただければ番組に生かしていくことができると思います。これからの一年間よろしくお願いします。
事務局
「火曜サスペンス」の視聴率については岩手地区では12月第2週全番組中でトップの視聴率を取りました。系列局でも各局の編成部長から、よい結果を出して良かったという話がかなり来ております。
では、新年度ということで委員長の選出、それから副委員長の任命を行いたいと思います。
― 委員長 橋口誠之氏選出
副委員長 谷村繁氏任命 ―
それでは、委員長、副委員長から御挨拶をお願いします。
委員長
前委員長時代から、この審議会は非常に自由な雰囲気で発言していただくということを大事にして、先ほどお話にありましたように、テレビ岩手さんは法律改正の前から審議会を非常に大事にされまして、先生方の御意見を積極的に取り入れておられます。そういう形を継承しながら、力不足ではありますが、進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
副委員長
谷村でございます。どれくらい貢献できるかわかりませんが、皆様の御迷惑にならないように、これからの一年がんばりたいと思います。よろしくお願いします。
事務局
番組審議に入らせていただきます。今日のテーマは、「この一年を振り返って」ということでテレビ岩手の自社制作番組について、また新委員の先生方には、今回が初めてですので放送全体、あるいは御自分が見てらして気になった場面についてご意見を頂戴できればと考えております。
その前に「火曜サスペンス劇場」のビデオを6分間、本当にさわりだけなのですが、視聴率トップということで気を良くしておりまして、是非、紹介したいと思います。それではご覧下さい。
― ビデオ視聴 ―
事務局
それでは、橋口委員長よろしくお願いします。
委員長
今日は、この一年間のテレビ岩手の自社制作番組ということですが、先生方、遠慮なくご意見申し上げていただきたいと思います。
委 員
一年のまとめということで、私がテレビ岩手に対して持っている思いをちょっとお話させていただきたいと思います。委員をさせていただいてから、テレビ岩手さんを心がけて見るようになって、それ以前は、民放はそれぞれ持ち味があるのだということを漠然と感じてはいましたが、そういうことを気にしながら見るようになりまして、お世辞ではないのですが、テレビ岩手さんはよいテレビ局だと思うようになりました。期待するところは、私個人としては2つあります。「火曜サスペンス」の故郷とか、「NNNドキュメント」とか、「KENJIの春」など全国に放送される場合に、キー局で放送して通用するといいますか、他の番組にひけを取らないものを作り続けて欲しいと希望する気持ちがあります。そして、その期待に対してさまざまな形で答えて下さっているということに対して嬉しく思っています。一方で県内で放送する部分に関しましては、うまく言えませんが、上から下に物を言うようなところがないということを感じています。「5きげんテレビ」とか「夢・見る・ピノキオ」とか、身近な、ほっとする雰囲気づくりというのを心がけてらっしゃるのかなと感じます。私、子供が小さいもので、4時・5時台はNHK教育をよく見ておりますが、見ていてコンピューターグラフィックが駆使されているものが多く、気になっていたのですが、子供が喜んで見ているから仕方ないと思っていました。最近、子供が3歳になりまして、コンピューターグラフィックがあまり多いとこわいと言って見なくなるようになりました。先日の「ポケモン」というアニメ番組についても思ったのですが、できる技術を駆使すれば、いかようにもよくも悪くも作れる技術を持ってらっしゃるのですが、ここまで出来るけどあえて使わないという引き算の部分がテレビ岩手さんの場合はあってよいと思っています。例えば直利庵の素朴なCMで評価されるという面があるのかなと思っております。
委 員
私的なことですが、「火曜サスペンス」は安比高原をロケ地にしておりまして、このように高い視聴率になって、安比高原に従事するものにとっては、とても嬉しくありがたく思っております。テレビ岩手の番組審議委員ということで、どのくらいお手伝いできたかというのはわらないのですが、一年間自社制作番組を見てきたのですが、本当によい番組が数多くあったと思います。「KENJIの春」、「破壊された海」、「国に物申す」、「あなたは731部隊を知っていますか」などいろいろなよい番組があったと思います。「ノーベル賞フォーラム」も非常に良かったと思います。先ほど社長さんもお話しましたが、これから地域での情報をしっかりしたものにしていきたい、質を高めていきたいということでしたが、テレビ局の番組というのは、二面性があって、1つは新聞的なもの、それから1つは週刊誌的なものがあるという気がします。最近は、週刊誌的なものの方が多くなって取り上げられやすいのかなと思います。料理番組の反響が良ければ料理番組が増え、それから歌番組が流行り出せば歌番組が出てきます。キー局では視聴率が上がればということでやっているようですが、そういった意味で、よい番組がテレビ岩手さんはたくさんあるので岩手地域の情報をもっと大人向け、子供向け、両方に対応できるように提供してもらえないかなと思います。岩手県の子供たちがもっと伸びていき、岩手はこんなによいところなんだというのを出せる番組を作っていただければ、小さな子供、小学生、中学生を持つ親とすれば非常にありがたいと思います。
委 員
委員になって最初はドキドキして、何をお話していいやらわからなくて世間知らずを痛感する一年でした。おかげさまでテレビ岩手を通していろいろなことを勉強させていただきました。
番組に関してなのですが、一年間で印象に残って、今でも心の中に残っているのは、731部隊の番組です。これほどいつまでも心に残る番組があるのかと思っております。わかりにくい問題でしたが、減反問題に関しましても、番組を見させていただいてその後どうなったのか気にかかっておりますので、引き続き番組をやっていただければと思います。それと、最初から題名が気に入っておりました「夢・見る・ピノキオ」もすっかり定着し私の周囲でも毎週というくらい話題になります。おいしいレストランや食べ物の内容の時には、食べに行こうかという話になりまして、視聴率も上がってきたのではないかと思います。これからもよい番組をお作りになって下さい。
委 員
今年は、2つ新しい番組「5きげんテレビ」と「夢・見る・ピノキオ」がスタートしました。これは最初、意図がよくわからないと申し上げましたが、すっかり定着して、ピノキオの方も好きで何度か拝見しました。「5きげんテレビ」は、最初私も地方局がこういうワイドショー的なものをどうやって作るんだと、その意図は何かということを質問いたしましたが、今ではたいてい5時半前後というと、帰宅して「5きげんテレビ」「プラス1」という流れになって、これもかなり定着したなと思います。毎日の番組ですといろいろな取材とか、番組関係の方々、非常に労をとっておられるのではないかと心配しております。キー局ですと、一時間のワイドショーでもそれだけのスタッフがいると思いますが、地方局ではかなりつらいところはないのかと感じております。ソフトな番組の他に、731部隊など社会的な問題についてもいろいろ追求しておられます。これを長く続けていくために、社内の長期的な体制はどうなのかということを感じております。どうしても手を抜けば薄くなります。また、堅い番組だけでもいけませんが、例えば、環境の問題など、ある面ではマスコミが先導する、そしてある面では問題提起をして、訴えかけて心配な日本の将来、岩手の将来、我々個人個人がどうしようかという啓蒙的な役割も大きいのではないかと思います。そういうテーマについても来年、掘り下げることが必要になると思います。
それから、つい最近の“ポケモン”のことはぜんぜん知らなくて、あわててこれは何だと聞いたのですが、あの番組かなり高い視聴率があって考えてみますと、おそらく数百万の子供たちが見ているわけです。統計的な話をしますと、それで異常が起きたというケースはパーセントにすると小さな割合です。しかし、マスコミの持っている対象は母集団が大きいという点からすると、我々の予測しなかったようなことが起きます。割合からすると小さい、しかし、起きれば数が多いという問題が突発的に出てきます。未知のものが出てくる可能性もあります。これは、予測できないのですが、いざというときに各民放、NHKも含めて、放送業界が臨機応変に動いていくという体制を作っていかなければなりません。問題が起きてから何かということでは対応できないものが今後、いつ、何時起きるかもしれないということをお考えいただくことが必要だと思います。映像のコンピューターグラフィック、その他のテクニックはかなり駆使されているわけで、テレビにはそういう要素が潜在的にあったのだろうという気がします。学問的に因果関係というのは明確に出にくい要素があると思います。フォローをどうするかという体制づくりが一つの課題ではないかと思います。
委 員
資料にございます一年間の自社制作番組の一覧を見ても、これだけのものを制作していらっしゃるということは見ただけでも大変だなというのが実感です。この中でもスポーツ番組は、子供さんの番組から本格的な競技会の番組まで、数えてみますと相当な数です。岩手県の県民がこの番組を見て、それぞれに感激したり、楽しんだりということがどのくらいあるのかちょっと興味があります。是非、私たちが毎日生活している岩手の県民の人たちと本当に近い部分で、たくさんの番組を制作していただきたいと思います。特に私は、スポーツ番組が好きなものですから、自社制作ではないのですが、今年あたりはジャイアンツがもう少し勝ってくれれば、いろいろな番組にも影響があったのかなと、最後は是非西武と戦ってほしかったなと思いました。私は、夏、冬いろいろな競技会を見ておりますし、取材に来られる方々がたくさんいますが、テレビ岩手の制作スタッフの方々がいらっしゃると、きわめて活気のあるそういうところが非常に感じられます。どこまでも突っ込んで一生懸命に仕事をしているということがとても感じられますし、時々、社屋におじゃましますと、上から、下の方まで非常に活気のある、とにかくじっとしていない、机にあまりいないというのは、たぶん相当なお仕事をしていらっしゃるのだろうと思います。一年間見てまして、これだったらよい番組ができ、社の勢いもあるなという感じがしました。新しい年度からは、番組ひとつひとつに興味を感じて、何かお話ができるようにしたいと思います。
委 員
今年一年のテレビ岩手の番組について、たくさん印象に残るものがあります。特に731部隊、それから「トランさん一家のベトナム里帰り」、「国に物申す」、「KENJIの春」です。特に継続的に岩手の地においてこそできる番組ということで印象づけるのは「夢・見る・ピノキオ」です。大変良かったと思います。
それから、二番目に関心を持ったものは、放送倫理綱領についてです。これは、ご承知のとおり平成8年9月に民放連とNHKが「放送倫理基本綱領」を制定されたわけです。この項目は、第1が放送の使命、第2が放送の公共性と人権尊重、第3が放送の社会的影響力、第4が問題に対する公正さ、第5に表現の適正さと品位、第6に報道の客観的性格性と、公平性、第7に広告内容の真実性と有用性という7項目と私は解釈しています。これは大変よい綱領を制定されたと思います。そして、もう1つ民放連は、この6月19日に「日本民間放送連盟報道指針」というのを制定されました。これは、先ほどの倫理綱領を報道の面から具体的に5項目の指針を提示しています。それに先立って今年の1月にテレビ岩手が「放送倫理ガイドライン」を作られて私共も書面でいただきましたが、項目としては、この放送倫理とその実施のマニュアルの性質を持っていると思います。第1は、取材、基本姿勢のチェックリスト、それから第2は、プライバシー、個人のプライバシー報道の3条件というのが示されていますし、第3に隠しカメラ、隠しマイクの点、第4に私有地の取材、第5に災害、事故現場での取材、第6に実名、匿名、及び呼称について、第7に編集の際に注意すべきこと、以下13項目にわたってマニュアルが具体的に示されており、私共にも、仕事に携わる職員の方々にも、わらりやすいと思います。ただ、私はこれら3つのものを通して少し感じたことがあるので、ここで申し上げたいと思います。それは、テレビ岩手の「放送倫理のガイドライン」の第2プライバシー、個人のプライバシー報道の3条件というところです。公共性すなわち個人のプライバシーを超えても、あえて報道すべき必要性を根拠づけるもの、これが公共性だと思います。説明ありませんが、そのように解釈できると思います。それから、公益性と真実性は同じく国民の知る権利にかかわるのもだと思います。この3つの条件を上げて示されたことは大変よいことだと思います。3つの条件をすべて満たさないものは、原則として報道しないというわけです。これ自体は、まちがいだと思いませんが、本当のところは、この3つの条件をすべて満たす場合に個人のプライバシーも放送できると解釈すべきだと私は思ったわけです。これは、例えば、公共性であれば真実性がなくてもよいというわけにはいきませんし、真実性があればすべて放送してよいというわけでもありませんから、これら3条件は3要件とすべきではないかと考えました。これは、テレビ岩手の内部で話題にしていただければありがたいなと思います。そして、それに関連して、実名、匿名、及び呼称についてです。テレビ岩手さんだけでなく、すべてのジャーナリズムについて疑問に思っているのは、犯罪を犯した未成年者の名前を報道しないとか、性犯罪の被害者の実名を報道しないとか、これは、よくわかるのですが、問題は交通事故の加害者、少年18歳の加害者は、名前を報道しませんが、事故にあった18歳の少年は名前が報道されるということです。事故にあったことをむやみに報道することによって本人にとってよいことは何もありません。事故がみんなに知られてしまい、大変迷惑を被ります。日本のジャーナリズムは、被害者をどこのだれで、何という人かということまで簡単に報道してしまいますが、そのことによって迷惑を受けるということについては考えていません。これら3つの倫理綱領を見ながら私が個人的に疑問を持った次第ですし、私も知人にそういうことで報道されてだいぶ困った人がいます。匿名ですから加害者は困らないわけです。こういうところに矛盾を感じました。放送倫理基本綱領の5番目の表現の適正と品位というところに関連するのが今回の「ポケモン」の事例だと思います。今まで放送倫理については、少なくとも放送内容の文化的影響、教育的影響、それから心理的影響くらいは考えていたのですが、生理的影響についても相当慎重にやらなければならないと思いました。視覚生理等にかかわる問題が起きつつあり、今回、問題になったのですが、これについては、技術的基準を民放連などで検討されることでしょうからそれに期待したいと思います。イギリスなどは、3、4年前からやっているそうです。
委 員
個人的に関心事項が片寄りがちで、テレビを見る場合に、番組の内容に関心を持っているものを見るという悪い癖がありまして、どうしても産業とか経済問題にかかわるものを見させていただくという形になっています。テレビ岩手さんが取り上げた減反問題とか、県内の畜産関係で苦労している人の話については非常に興味を持って見させていただきました。それ以外には、731部隊、これはマイナス的反響を気にしたと思いますが、勇気を持って取り上げて非常に心に残る内容だったと思います。農業県として岩手の農業問題というのは、現在もそうですが、これからも非常に大きな問題になると思います。私の希望ですが、県内の農業に従事し、畜産でも、野菜でも、稲作でも、家畜関係でもいいのですが、非常に努力されている方々があるのではないかと思います。こういう方々を対象に、苦労して産業に携わっている人たちを力づける意味で、取材対象として取り上げていただきたいと思います。元気づけるというか、側面的に刺激としてそういうものを取り上げて番組を作っていただきたいと思います。
委 員
私が印象に残っていますのは、今年度の番組の中では、5月の「国に物申す」です。本当に内容が身近に感じられました。先ほど、いわゆる全国に通じる番組をという御意見がありましたが、この番組は、日本の現代のテーマが濃縮されていたと思います。例えば、米の産地間競争とか、農水省の減反推進ですとか、あるいは国際的な輸入の促進における余剰米の問題とか、大変印象深いものだったと思います。同じ時期、もう1つ印象に残ったのは、紫波の森林火災の実況中継です。これは、NHKも含め他社がまねのできない報道で大変機敏な対応で良かったと思います。以前地方からの発信が大事という委員からの発言を聞いたのを印象深く思いましたが、そういう意味でテレビ岩手のいろいろな番組がすばらしく、視聴率も好調ということで会社の勢いというものを感じました。
“ポケモン”につきましては、今一番自分で恐れていますのは、過剰反応です。12月11日の日経新聞に、たぶん局の方はお読みになっていらっしゃると思いますが、テレビは子供の発育にプラス効果をもたらすという記事が載っていました。週に10時間テレビを見る子供とまったく見ない子供の学業成績を比べますと、見る子供の方が非常に成績がよいという内容が載っています。日本のアニメ技術といいますのは、やはり世界一かもしれません。その中でアニメ作りをしている人たちがこれからどうなるのだろうかということを考えました。そういう意味では、言論の自由ということで、規制というのはあまり作られない方がよいと思います。是非、この問題を上手に解決していただきたいと思います。今年は、大変いろいろと勉強になった年でした。
委 員
実は、私、他社の番審を経験しておりまして、10年くらいたっているわけですが、この10年近くほとんど朝の番組と夜のニュースしか見ないような生活をしています。今日はどうなるかと少し心配でした。やはりテレビというのがすごいと思うのは、バグダットの戦争の時、地球の裏の姿が一秒もかからずに映るということでした。阪神大震災の時は、朝早く起きて犬の散歩をしようとしたら、そういう光景が出てきて、涙を流しながら見たという経験があります。そういった意味でテレビというのは、社会的にすごく意義のある場面が多いと思いますが、最近は、皆さんがおっしゃっているような番組の中味について、どうも私としては納得できない部分が出てきていると思います。なぜかと申しますと、ご存知のとおり、視聴率を稼ぐためスクープを取り上げます。これは、新聞も雑誌の世界もそうです。私は、書店という立場でマスメディアの一端の仕事をさせていただいているという意識がありますから、例えば、昨年の神戸の事件の容疑者の写真を掲載した「フォーカス」は、さまざまな議論があるでしょうが、私の店ではいち早く販売中止ということにしました。それから、どうも全体的にテレビの番組特にキー局から発信するものが、非常に将来のある青少年の発達についてさまざまな目に余るような部分が出てきているようで、そういった意味で、憂えています。それから、テレビ岩手さんは、私も一番好きな局でございますが、昔から、起きると朝は「ズームイン朝」ということで、今も毎日見ています。歴代のリポーターは高橋佳代子さんから始まって、現在平井直子さんが務め、岩手県らしい思いの入ったコメントが毎朝出るたびに非常に好感をもって見ておりました。次になる人は大変だろうなと思いながら見ています。他の局を見ると軽薄な安直な報道が多いです。「ズームイン朝」のような番組形態をまねて地方からの発信みたいなものが非常に多くなって、そうすればそうするほど、「ズームイン朝」はすごくいいなと個人的には思っています。歴史を感じるというか、軽薄な時代、他がやっているからというのではなくて、「ズームイン朝」らしい、日本テレビらしいということは評価したいと思っております。
それから、ケーブルテレビ、衛星テレビのような多チャンネルのメディアについてですが、私は出張の機会が多いものですから、天気予報のチャンネルを見ると、その場で出張先の天気を知ることができます。視聴者は、専門チャンネルをひねればそういった情報がすぐ見られるということで、特に地方局の場合、クリアするハードルがその辺にもあるのではないかというように思っております。その辺を尚いっそうお気使いただいて、発信の仕方、あるいは提供の仕方を工夫なさると尚いっそう局全体のキャラクターが生きてくるのではないかと思っております。そういうことをここ数年見ておりまして感じておりました。
委 員
昨年の10月13日、五木寛之さんの講演会を医師会で企画しまして、テレビ岩手さんには本当にお世話になりました。医師会というのは今まで、誤解を受けていた面もあるのですが、最近は、開かれた医師会ということで、地域住民の方々にそういう姿勢を持って入っていこうとしています。そういう中で、地域の皆様にどういうことを提供できるか考えながら、五木寛之さんに生と死の問題を語っていただきました。21世紀を迎えて、高齢化社会、低福祉という状態がこれからどんどん進んでいくと思いますが、テレビ岩手さんに期待することは、陽の当たるところだけでなく、高齢化社会の介護、在宅のケア、訪問看護など地味な努力についても取り上げていただきたいと思います。また、救急医療の実態とか、救急医療といっても高次だけでなく、低次、一次、二次の利用というのが充実してきてます。国庫の補助が出て、盛岡市の夜間救急診療所もやっているのですが、非常に熱心です。救急医療は、岩手医大のようなところに集中していますが、それ以外の患者さんも全部岩手医大に集中しています。そのために小児科患者の待ち時間がきわめて長いです。夜間診療所が出来まして、医者は待機していて、1分、2分で診れるわけです。そういう現実もありますので、地域の人たちに役に立つものを我々が提供できるものを報道していただけたらと思います。
それから、スポーツのことですが、今年、高校野球の県予選の放送がテレビ岩手さんからテレビ朝日さんになったのですか。ニュースでしかやらないという大きな変化に気づきまして、これはやはりむずかしいものがあるのだなと思いました。
テレビ岩手の制作番組を見ますと、たいてい私の診療時間なものですから、子供にビデオをとらせてできるだけ見たいと思います。
委 員
今まで、放送している局を意識してテレビ番組を見たことがありませんでした。その中で、今年一年番組を見ていまして、一番印象に残ってますのは、先ほども御発言がありましたが、紫波の山火事の報道でございました。これはテレビ岩手だとその時意識して見ておりまして感激しました。たくさん番組を見ている中で、今、お話にあった報道番組はだいたい見ておりまして、何でそうだったのかと考えてみますと、やはり見ようとさせる何かがそこにあったのだろうと感じております。先日、放送されました「故郷」については、自分の生き方を反省させられるような要素もたくさんありました。競争社会にあり、がんばっているだけの生き方というのがテーマとして出てきましたので、非常によい反省材料になったと思います。
それから、今、そして、これから、日本のあらゆるシステムが危機と申しますか、崩壊の過程にあるともいえます。そういった中で、医療の問題や、社会保障の問題とか、そういったものを全国的なものでなく岩手県のレベルで紹介し、アピールするようなものがこれから視聴者には求められるのではないかと思います。
委員長
後ほどテレビ岩手さんの方からコメントをいただくとして、次回から何かご発言が局側からありましたら、その都度いただいた方がよいかなという気がしました。先生方、いろいろな貴重なご意見ありがとうございました。テレビ岩手さんへの期待ということで、キー局が番組の視聴率を意識しすぎるのに対して、テレビ岩手さんは、質の高い番組を作っているという発言がありました。それには2つあって、1つは全国レベルに通じるような番組、もう1つは、岩手そのものを深く掘り下げ地に足のついたものをということで、共通のご意見だったと思います。また、それに答えて下さったというお誉めの言葉がたくさんありました。731部隊の番組は非常に勇気があり、また、東和町の自主減反ですが、審議会の方で継続して追いかけて下さいと言いましたら、5月と8月にやっていただきまして、皆さん期待をもって見ていたと思います。その他「KENJIの春」とか、「破壊される海」、「太田愛人飢餓からの食物誌」、「故郷」などよい番組をやっていただきました。それから、「5きげんテレビ」、「夢・見る・ピノキオ」についても、定着して、しっかり岩手県に根を下ろした番組だという評価をいただいたと思います。放送倫理の関係ですが、テレビ岩手さんは非常に前向きで、委員の方から指摘される前に議論の材料を局側からその都度、例えば福岡放送の問題ですとか、今回の問題とか打診をいただいて議論しやすいような形でやっていただいて大変ありがたかったと思います。“ポケモン”については、テレビの怖さというものを再認識したというご意見と、逆にあまり過剰反応をしないようにというご意見もありました。“ポケモン”に限らず、やたらに光の点滅、ギラギラみたいなのは、こういう問題が起こる以前に私個人としては非常に生理的に不快を感じておりまして、問題があるのではないかと思っておりました。ポケモン事件が起きたから過剰反応するとか、規制を作るという以前にやはり、常識にあったものが望ましいのではないかと思います。直利庵のコマーシャルの色彩がシンプル・イズ・ベストという感じで、まさに私が不快に思ったような映像とは正反対のよいコマーシャルだなと感じておりました。放送倫理に関しましては、スクープを意識しすぎて行き過ぎのないようにとか、特にプライバシーを含めて放送倫理に関して、たくさんのご指摘をいただきました。これからの期待ということで、スポーツ番組をもっと力を入れてほしいということと、もう少し目立たないところでがんばっている人たち、たとえば農業問題など、表に出して力づけていただきたいというご意見もありました。
局側の方から個々のご質問に対するご解説でもいいですし、全体的なことでもよろしいのでお願いします。
社 側
高校野球は、実は続けたかったのですが、朝日新聞さんが主催なので系列のテレビ朝日さんが出来まして、継続の要望をしたのですが、残念ながらニュースの枠の中で処理するということになりました。開局以来ずっと高校野球をやってきまして、私たちも一番楽しみにしていまして、残念です。高校サッカーが読売新聞主催なので、サッカーは重点的にやっていきたいと思っています。
事務局
長い時間どうもありがとうございました。最後に事務局の方から皆様にお願いがあるのですが、冒頭に伊勢社長の方から放送法が改正されたという話がありましたが、今まで年4回、「あなたと歩むテレビ岩手」という15分番組を制作して番組審議会の内容を視聴者に報告してきました。放送法が改正になりまして、郵政省の要望に基づき、審議の内容を新聞とテレビの両方で公表するということで1月から報告番組をスタートさせたいと考えております。毎月ですので、5分間の番組としまして、毎回二名の方のご発言の模様を収録させていただき、全体をまとめた委員長のコメントとともに、番組審議会の1週間後ごろに放送したいと思っております。
来月の番組審議会は、1月20日第3火曜日、1時30分からテレビ岩手の6階の大会議室で行います。テーマの方は、今まで盛んにお話がでました東和町の問題をまとめたものを「NNNドキュメント」で全国ネットで放送しまして、これについてご意見を頂戴し、合わせてその他の番組についてもご意見をうかがいたいと思います。来月の審議会については以上です。
委 員
1つお願いがあります。いままで番組審議会の議題が1つだけですが、もう少し2つか3つくらい出していただきたいと思います。というのは、私、恥ずかしいのですが、「夢・見る・ピノキオ」というのはほとんど見てないんです。項目表を見てますと、あれっ、これ見れば良かったなというもの、例えば、料理、フランス料理など見ておけば良かったなというものがあります。番組名だけで選択したため、見ていないものもありまして、これは自分の年齢的なものもあると思うのですが、2つぐらいテーマがあるといいなというあつかましいお願いです。
事務局
さっそく来月から、皆様に次回の御案内をお送りする際、テーマ追加でお送りしたいと思います。
社 側
テーマの番組以外で気がつかれたことがありましたら、どんどんお話していただきたいと思っております。もし、都合が悪くて見られない時は、その他の番組でも何でも、あるいはテレビ全体についてでもお話していただければよいと思っております。
事務局
今日はどうもありがとうございました。この後、引き続き懇親会を用意しております。